本研究では,商品比較を行う消費者に向けた,任意の商品に関する主観的要素を含んだ比較情報を提供する手段の開発を目的として,衣服の比較文章を自動生成する方法を提案する.まず,生成する比較文章の内容設計のために既存の商品比較記事を分析した.その結果,効果的な比較文章は「比較対象商品の提示」と「詳細な比較」という構成要素を持ち,商品の属性が客観属性と主観属性に分類されることが確認された.この分析結果を基に,視覚言語モデル(VLM)を活用し,段階的な処理を導入した比較文章生成手法を設計した.提案手法では,衣服画像から客観属性を特定し,それを基に主観属性を推定する.その後,共通する客観属性と顕著に異なる主観属性を抽出し,これらを基に比較文章を生成する.提案手法の有用性を評価するために実施したアンケート調査では,提案手法による比較文章が多くの消費者に有用な情報を提供できることが示された.また,段階的な処理の導入により生成文章の質が向上することも確認された.一方で,正確性のさらなる向上や,属性の具体性を強化することで,より有用な情報提供が可能になることが確認された.