本研究では,日本の伝統文芸である俳句に焦点を当て,芸術分野において重要
な作業である評価・選択・推敲・批評に対して,大規模言語モデル(LLM)を用
いて取り組む.深層学習モデルが生成した約1 億句の俳句が蓄積されたデータ
ベースを対象として, 評価・選択手法を開発する.選択の過程で,生成句が旧仮
名遣いや文語表現を多く含むことに着目し,俳人の推敲プロセスに基づくLLM
による現代的な俳句への推敲を行う.選択した推敲前後の俳句について俳人へ
のアンケート調査を行い,選択手法の性能を検証する.また,批評文の中でも
一般的な俳句の長所や出来栄えを評価する批評文の生成手法を開発する.俳人
が作成した批評文を分析することにより生成する批評文に必要な情報を決定し,
LLM に与えることでこれを実現する.生成文について俳人へのアンケート調査
を行い,長所や出来栄えを評価する批評文としての質を検証する.